行動ファイナンスに学ぶ①

行動ファイナンスとは

「人は合理的に行動する」　「人間は偏見など持たない」　「全ての情報は瞬時に全ての人に伝わる」
伝統的なファイナンス理論は上記のような大前提の基に導かれてきました。たしかに伝統的ファイナンス理論はオプションのような複雑な金融商品のプライシングを論理的に可能とし、様々な面で金融工学に、ひいては現在の世界経済に対しとても大きく貢献してきたことは間違いありません。しかし冒頭の三つのような大前提が、果たして現実の市場に対して本当に適用できるでしょうか。

行動ファイナンスとは、伝統的ファイナンス理論を背景としつつもそこに心理学的な要素を盛り込むことによって、より現実的な金融市場へのアプローチを確立しようとする分野です。行動ファイナンスを学ぶことによって
・投資判断に関わる心理的バイアス
・誤った投資判断の実例
・心理的バイアスを避ける方法
を学ぶことができます。
バイナリーオプションのトレードにおいて、この間違った心理的バイアスを排除することは非常に有益です。このカテゴリーでは安易に「絶対儲かる」とか「簡単に儲かる」等の表現は用いません。ですが、本当に強いトレーダー、バイナリーオプションだけでなく他の金融市場でも活躍できる真のトレーダーを目指す方にとっては必ず役に立つはずです。

ノーベル賞受賞者も陥る罠

LTCM（ロングターム・キャピタル・マネジメント）というヘッジファンドの名を聞いたことはあるでしょうか。このヘッジファンドは複数のノーベル経済学賞受賞者中心に、金融工学部門トップクラスの学者や元政府関係者を集め、かつて金融市場における世界最強の集団と呼ばれました。
最盛期には1000億ドルもの資金を調達し、その天才的とも呼べる頭脳をフル活用して大きな利益をあげていたのです。

しかし、結果的にこのLTCMはロシアの通貨切り下げという一つのアクシデントをきっかけに、たったの1ヶ月で資産の9割を失ってしまいました。天才達の富も名声もプライドも、全てが一瞬にして崩壊してしまったのです。

LTCMは伝統的ファイナンスを軸に極めて複雑な市場モデルをデザインし、それを基に資金の運用を行っていました。つまり、人間は合理的であり、偏見など持たないという前提に立って全ての投資判断を行っていたのです。

誤った心理的バイアスや、伝統的ファイナンスに縛られた自信過剰な判断からはノーベル賞受賞者であっても逃れることはできませんでした。行動ファイナンス理論は、このような金融市場におけるかつての大きな過ちを踏まえ、更に発展と進化を遂げてきたのです。