利上げするのかしないのか？揺れるFRBの決定は？

国内バイナリーオプションの予測に直結する国際金融情勢。今回のテーマは米国の政策金利の行方についてです。今年の夏頃からにわかに高まってきた利上げ待望論ですが、一方で中国を始めとした新興国の景気腰折れ懸念が強まるなど今ひとつ、米国も景気先行きやインフレ率の継続的上昇に対して自信が持てないようです。金融政策を決定するFRBやその議長であるイエレン氏も発言にややブレが見られ、それが金融市場に同様を与えているのが現状です。

FRBは世界の中央銀行ではない

見出しの言葉はイエレン議長の過去の発言です。つまりFRBの金融政策はあくまでも米国の利益を最大化するためのものであって、他国を守るためのものではない。という意味です。暗に新興国の景気先行き懸念はFRBには関係ないと意思表示しているわけです。ただ、株式市場に与えるダメージを考えるとそう簡単には利上げに踏み切れないという苦しい背景があるのは間違いありません。今後気をつけるべきは米国の景気指標だけでなく、他国の特に中国の経済指標を見逃さないようにすることです。中国の景気悪化は米国の喉に刺さった魚の骨のような存在です。ダイレクトに米国経済にダメージを与えるわけではありませんが無視することはできないのです。10月以降のFOMCで米国が利上げを決定するには米国の重要経済指標（雇用統計やISM非製造業景況指数）が良好であることはもちろんのこと、揃って中国の経済指標にも問題ないことが大切になります。つい先日は中国の実質GDPの伸びが年率6.9％と発表され話題となりました。これまでは政府目標の7.0％が堅持されていたのですが、それがやや下振れしたということは、実態はそれ以上に中国経済の伸びのスピードは鈍化しているのではと不安視されているのです。

一枚岩ではないFRB幹部たち

米金利の引き上げについて、最も問題となっているのはFOMCにて議決権を持つFRBの幹部たちがそれぞれ違う意見を持っていて一枚岩ではない点です。これまでもハト派からタカ派まで様々な立場の幹部はいましたが、現在ほどまとまりを欠いた状態は稀と言えるでしょう。例えばシカゴ地区連銀のエバンズ総裁は利上げにかなり消極的ですが、ニューヨーク連銀のダドリー総裁やサンフランシスコ地区連銀のウィリアムズ総裁はとにかくまず利上げすべきと主張しています。肝心のイエレン氏が全員の意見をとりまとめるためなのか、結果的にあやふやな主張になってしまいリーダーシップがとられていないわけです。

国内バイナリーオプショントレードに活かすには？

アメリカの金融政策ですから当然米ドル円やユーロ円をトレードする際に意識すべき内容になります。米利上げ見送りはたしかに米ドルにとってネガティブですが、だからといって日本円やユーロと比べて米ドルが長期的に弱くなるとは考えにくいです。特にユーロは自動車産業がダメージを受け始めていますし、中国の景気減速も米国以上にその影響を受けます。というわけで基本的にはユーロ米ドルを下方向に構えるのがメイン戦略となりそうです。ただし、FOMC会議をまたぐようなポジションをとる場合はある程度投入金額を抑える必要があります。少し長い目線で見ると勝てる確率がかなり高いと思われます。